「真人生の探求」中村天風（著）「成功の実現」「盛大な人生」「幸福なる人生」「すべてはよくなる」と読み継いできて、おおよそ天風哲学の何たるかが解かり始め、と同時にその内容を実践し始めて、その効果を実感し始めた頃、そろそろ天風の著した書籍の中でも、とりわけ難解ではあるが、まさにその哲学の真髄を著した本に、そろそろ挑もうと手にしたのがこの「真人生の探求」です。
天風曰く、この書は、真に人生を愛し、正しく人生を考える人々のために編さんしたとあり、特に病に悩む人や、運命的人生苦に懊悩する人に切に熟読を勧めると書かれています。
世に、「病」「煩悶」「貧乏」とを人生の三大不幸と称している。私は、この三大不幸を、世の人々の中から、少しでも軽減しようと、講習会という人格と人格との接触によって如かずと、講習会本位でここまで行なってきたが、多くの熱烈な勧めを受け、ここに「真人生の探求」として、一冊の書を編さん公刊することとした。という経緯で発刊された、天風哲学真髄の書であり、天風哲学三部作の始まりの書でもあります。
内容は、予想に違わぬ難解ではありましたが、天風哲学を微に入り細に入り、全体的に網羅されたもので、天風哲学を語る上には、決して、避けては通れない一冊となっています。
〔目次〕
第一章 生命内在の潜勢力
・内在する微妙な力
・天賦の潜勢力
・潜勢力の発現
・発現の方法
・六つの力
・長さ・強さ・広さ・深さ
・現在人の生活法
・心身一如
・心身統一の効果
・肉体本位の方法
・精神本位の方法
第二章 精神生命の法則
・神経系統の重要性
・生命の流れ
・こころの生命に及ぼす影響
・感情と肉体
How to do ？
精神力の強化
・健康への要諦
・感応性能の積極化
・観念要素の更改
・暗示感受作用
・自己暗示誘導法
・積極観念の集中法
・神経反射作用の調節法
・応用法
・精神統一の要領
第三章 肉体生命の法則
・純正生活法
・自然法則順従
・積極的訓練化
・衣服に関する注意
・食物に関する注意
・飲み物に関する注意
・住居に関する注意
・空気に関する注意
・日光に関する注意
・土に関する注意
・運動に関する注意
・睡眠と健康生活
・性に関する注意
・感冒撃退の方法
第四章 羅病時の対処法
・病と病気
・検脈症
・検温症
・検痰症
・検尿症
・検糞症
・広告症
・巡礼症
・栄養恐怖症
・病を早く回復せしめる秘訣
緒言 ・幸福な人生
人間！！ それは、一体何であろう？
否、人間とは、一体幸福のものであろうか、
不幸なものであろうか？
特に、病や、運命に対して、果たして、
強いものであるか、
それとも弱いものであるか。
そこでまず真面目に考えたいことは、
人間とは果たして多くの人々が
考えているような、
つまらない下らないものであろうか
ということである。
こういうと、数多くの人々の中には、
かなり尊く幸福に人生を恵まれて
活きている人もあるだろう。
しかしそれは極めて少数でしかない。
大部分の人間は、決して、
幸福に活きてはいない。
やれ病の、やれ不運のと、
一日として、心の底から、
のどかな人生などは、
夢にも味わいえず、
本当に面白い楽しい人生などというものは
特に味わい得るとしても、
それは只瞬間的なもので、
人生というものは、
結局生活苦の奴隷という
範囲以上のものではない。
だから、人間なんてものは、
所詮はつまらぬ
下らないものだと
思い込んでいる人が、
特に今日の世の中には、
かなり数において
多いことと思われる。
成程それも、
現在人生の現象事実のみを
対象として考えれば、
そうした断定を、
大きな間違いだと、
真正面から否定することは出来ない。
しかし、厳粛に、
真理の上から論断すれば、
要するに、
「人間の真正な価値の認識」という
重要なものを
欠如しているからの
結果だと言わねばならない。
〔まとめ〕
先ず何をおいても、
人生に対する尊貴な義務から
実行しよう。
幸福という権利は、
自己統御を完全にするという
正しい義務の実行者にのみ恵まれる。
要は誠と愛の心をもって、
万事万物に接する時、
期せずしてそれは光明となる。
従って、人の世のため、
常に誠と愛とを基盤として
為される言行というものは、
ただ道義的推論ではなく、
広い意味における
人間使命の遂行であり、
また、人生確保の要決であり、
これこそ最も近くして最も遠く、
最も新しくして最も古き、
久遠より永劫への、一貫する、
不易の人生哲学と人生科学の真髄である。
