中村天風&池田晶子
怒らず、恐れず、悲しまず、〜悩むな考えよ。
波待ち物語

【波待ち物語】第四話

(店内を見渡して、中央に置かれた、天板にガラスがはめ込まれた細長いテーブルの
端の方に、そっと一冊だけ置かれた雑誌が目に入った。)

「あ~これですね!マジっすか!すごい!」

「懐かしいだろ!」

「すっごい懐かしいっすね!
これ見ていいんすか?」

「いいよ!天板の上に置いてあるのはサンプルだから。」

(サンプルと書かれたその雑誌を手にとって、ソファーに
ゆっくりと座り直した。)

「”湘南スタイル”お~キタ~!懐かしい~!」

(表紙をマジマジと見ながら、
そのロゴだけで、こころの奥から、何かわからない感動みたいなものが
ジワジワと溢れ出てくるような感慨にしばし耽っていた。)

(一ページ一ページ、味わうようにめくっていきながら、)

「やっぱ、いいっすねぇ!この感じ!」

「いいよなァ!特にフーさんは、たまんないだろ!」
「家から車から、ファッションまで、
その世界観だったからなァ!」

「そうっすね!懐かしいっすよ!」
「っていうか、今もそのスタイルなんすけどね!」笑。

「そうなんだ!やっぱり筋金入りだな!」笑。

「いえいえ!ハートの奥がそのスタイルで、もう
家(湘南仕様)も車(ボルボ)も手放しちゃったし、
たま~に、そんなファッションをする程度っすけどね!」笑。

「いやいや!ハートの奥が人間、一番大事なんだよ!」笑顔。

「なんか思い出しますね!毎週毎週、海に行ってたのを!」

「そうだなァ!懐かしいなァ~!よく行ったなァ!
今日は日向、今日は蒲江、行けるポイント全部行ってたなァ!」笑顔。

「行きましたねぇ!小倉ヶ浜、金ヶ浜、美々津、伊勢ヶ浜、元猿、波当津、」

「空港横も、奈多も、潮によっては、北まで遠征したなァ!」笑顔。

「そうっすね!奈多でゴッサンが神になったんすよね!」笑。

「そうだったっけ?」

「そうっすよ!奈多ですよ!あの時から
健ちゃんからゴッサンになったんすよ!
あの時はですねぇ!」

(少し天井を見上げるような眼差しで、
懐かしい想い出を紐解くような表情で、
ポツリポツリとゆっくり話し始めた。)

「あの日は大潮で、南は波が大きすぎるから、
フーさんにはちょっとキツイから北に行ってみよう!って、」

「そうそう!そうだった、そうだった!」

つづく。

ABOUT ME
文章fumiaki
・1958年生まれ たそがれヤモメ・趣味〜サーフィン(若い頃) 80年卒業後、薬品会社勤務の後83年脱サラ会社起業~現在に至る。傍ら縁あって出会った天風哲学を独学実践。還暦を機に法人解散しフリーランス活動中。 海とトラッドを愛し笑顔で暮らす。
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