【ボートハウスの奇跡】
一枚のトレーナーに込められた夢

MY STYLE
僕のスタイルは、
ずっと変わっていない。
服も、センスも、信念も。
ずっとアメリカに憧れている。
僕が最初に触れたアメリカは、
日本がまだ戦後を引きずっている頃に
豊かさを謳歌していた国だ。
人々は明るく、
カッコよく、
エネルギーに満ちあふれていた。
今は当時に比べれば、
アメリカと日本に大きな差はないかもしれない。
でも、
やっぱり僕にとってのアメリカは
憧れの対象のままだ。
会社の僕の部屋には、
コカ・コーラとデイズニーのコレクションが
ところ狭しと並べられている。
それでも場所が足りなくて、
ボートハウスの本店に展示コーナーをつくり、
さらに倉庫にもたくさんしまってあるという状況なのだ。
圧倒的なアメリカらしさを常に感じ取ることができる環境は、
僕の創作に対するモチベーションを上げてくれる。
ずっと石津謙介先生を尊敬している。
VANを知ってから、
「VANを着ていれば、きっといつか石津先生に会える!」
と信じて全身をVANで固めていた十代の頃。
僕のファッションは、
間違いなく石津先生の影響を受けてきた。
アメリカに憧れている僕にとって、
石津先生のトラデイシヨナルファッションは、
まさに自分のファッションとなった。
だから昔も今も、
ボタンダウンを着続けている。
ずっと海が好きだ。
その想いを込めたのがBLUE TRADISIONAL。
若い頃にサーフィンにのめり込み、
念願のヨットを手に入れ、
油壺とハワイの海辺に別荘を建てた。
海で楽しむことが、
間違いなく自分の仕事の原動力になっている。
海に似合うファッションを考えることは楽しい。
80年代のはじめのボートハウスの熱狂が
あまりに印象的だったために、
僕のファッションを一時的なブームだったと
考える人がいても仕方がない。
だが、はっきりと伝えたいのは、
僕はブームの仕掛けなどとはまったく無縁で
昔も今も何も変わっていないということ。
進化はしたいと思うが、
スタイルも信念も決してぶれない。
エプロンをつくっていたときも、
社会現象としてマスコミにこぞって
取り上げられたときも、
まったく同じように
ただ好きなことを追い求めてきた。
好奇心のおもむくままに楽しんできた。
これからも、
決して変わることはない。